ダブルスウィッチ
相変わらず週に二回は遅くなる亮介が、あの浮気相手と会ってることくらい嫌でもわかってしまう。


家事を終えて、派手な家具の中で一息ついた彩子は、エプロンのポケットに手を入れた。


人差し指と親指で、小さなそれを摘まんで取り出す。


どこに置いておけばいいのかわからず、結局エプロンのポケットにしのばせておくしかなかった片方だけのピアス。


捨ててしまおうかとも思った。


けれどなんとなく捨てられなくて、まだ隠すように持っていた。


ピアスを開けたことのない彩子は、これをつける女性がどんな人物なのか思い浮かべてみる。


亮介が触れているんだろう、彼女の裸体にも興味があった。


若く美しい体で、亮介を魅了したんだろうか?


セックスになど興味がないように見えた亮介を、夢中にさせるほどの体なんだろうか?


自分の体を眺めてみる。


ニットのワンピースは体の線を強調させているけれど、それほど悪くはないと彩子は思う。


胸も大きくはないけれど、形はいい。


色だってまだピンクに染まってる。


薄い体毛に包まれた場所だって、けしてひどいものではないと思う。


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