ダブルスウィッチ
休みだからとゆっくり起きて洗濯機を回していたのが、ピーピーと終わったことを知らせていた。


亮介が電話をかけてきたことはほとんどないというのに、その妻がかけてくるなんて皮肉なものだ。


メールはきっと全て消しているはずなのに、かけない電話番号は消していなかったんだろうか?


きっとえみりの名前も載っていなかったに違いないのに、なぜたくさんの番号の中からこれだとわかったのか、そこも不思議だった。


『あなたに会って話したいことがあるんです

返したいものもあるし……』


それがピアスだということはすぐにわかった。


あれから何週間も経つというのに、捨てずに持っていたんだろうか?とえみりは思う。


だけど、会って話したいことっていったいなんなのだろう。


別れてくれというだけなら、電話ですむはずだ。


首を捻りながら、なおも彼女の言葉を待つ。


『別れてくれとか、そういう話ではないんです

折り入ってご相談がありまして……』


ますますわけのわからない彼女の言葉に、えみりは困惑した。


それ以外になんの相談があるというのか?


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