ダブルスウィッチ
言われなくてもわかる。


鈴村えみり本人だ。


背は168センチくらいで細身、髪は長く柔らかそうな茶色でふわふわと巻いてあった。


事前に聞いていた情報と一致するだけじゃなく、それ以上だった。


派手な顔立ちとスタイルはモデルのようだったし、サーモンピンクのシャツワンピースから伸びた長い足はナマ足で若さを強調している。


ウエストには黒のリボン。


足元は10センチはありそうな踵のサンダルで余計に身長を高く存在感のあるものにしていた。


彩子は信じられなかった。


まさか自分の夫の浮気相手にしては出来すぎじゃないかと……


亮介もあの歳にしては悪くない容姿をしているが、それでもこんな若くて綺麗な女性と知り合うきっかけはなんなのだろうと思う。


凝視したまま固まっている彩子に気付いた鈴村えみりは、小さく会釈をしながらこちらに近づいてきた。


「あの……失礼ですが、森野さん……ですか？」


立ったまま遠慮がちに彩子に話しかける仕草も様になっている。


もうこの時点で負けそうだった。


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