ダブルスウィッチ
浮気相手の妻に、差し出された怪しい薬。


復讐のための道具かもしれないと思われても仕方ない。


けれどこのカプセルを飲んで何が起こるのかは、彩子自身にもまだわからないのだ。


「今夜、9時、私と一緒に飲んでほしいの

入れ替わりたいって強く願うことで、それが現実になるかもしれない

私はあなたが羨ましい

亮介に愛されてるあなたが……

だからお願い、一緒にこれを飲んで?」


えみりの手にカプセルが2つ入った袋を握らせる。


その上からギュッと手を握ると、彼女の口からため息が漏れた。


「もし、私がこれを今夜飲んだとして……」


彩子を見ることなく、えみりは薬を握らされた手をジッと見つめていた。


「あなたが飲むっていう保証はないでしょう?」


必ず飲む、そう言っても彼女は信用しないだろう。


だったら、彼女に自分の決意を見せるにはどうしたらいいだろう。


「確かに、その通りだわ
保証なんてどこにもない

だったら、今この場で飲むならどう?

お互いに飲むところを確認できるし、それならフェアでしょう?」



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