ダブルスウィッチ
その決意が揺らがないうちに、実行に移さなければ……


彩子はそう思っていた。


急いで自分のバッグから、残りの2つのカプセルが入った袋を取り出す。


中から一つだけカプセルを取り出すと、えみりの方を見た。


えみりも同じように袋からカプセルを一つ取り出していた。


人差し指と親指でつまんだような形でお互い黙りこむ。


どちらからともなく頷き合うと、彩子とえみりはお互いから目を離さないままに、カプセルを口の中に入れた。


そのまま水を飲み下す。


えみりの喉がコクンと動いて、彩子は自分もカプセルが喉を通りすぎるのを感じた。


彩子はえみりに……


えみりは彩子に……


そう互いに願いながら。


けれど、いつまで経っても何も起きなかった。


入れ替わるわけでもなければ、具合が悪くなるわけでもない。


彩子自身は、あぁ、やっぱり騙されたのか……と諦めにも似た気持ちでいたけれど、えみりはそうじゃなかった。


「何も……変わらないじゃないですか」


強張った表情で、えみりはポツリと呟く。


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