ダブルスウィッチ
「こんなことして、なにが面白いんですか?

私をバカにしてるんでしょう?

なれもしないのに、それに憧れて必死にカプセルなんか飲んでる姿を見て、心の中で笑ってたんじゃないんですか?

そりゃあ、私のしてることは間違ってると思います

でも好きなんです!彼のことが!」


だんだん大きくなる声に、周りの客や店員までもが彩子たちを遠巻きにチラチラと見ている。


えみりは彩子がからかったのだと思っているようだった。


けして妻にはなれないえみりを、その気にさせて貶めたんだと。


彩子は宥めるようにえみりの手を握った。


興奮していたえみりがハッとなる。


「からかってなんかいないわ

私もあなたになりたかったの

もしかしたら騙されてるかもしれないと思いながら、高いお金を払ってこの薬を買ったのもそのせいよ?

可能性が限りなく低くても、それにかけてみたかった……

だけど、そんな自分勝手な妄想にあなたを付き合わせてしまったことは申し訳ないと思ってる

ごめんなさい」


浮気相手に、なにを謝ってるんだろう?と思いながら、それでも自分の気持ちに一番近いのはえみりなんじゃないかと思っていた。


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