好きって、言いたかった。
ヒュウッと冷たい空気が一気に流れ込んでくる。

それと同時に、私は手に持っていた文庫本をドサッと床に落とした。

体が固まる。

寒さのせいじゃない。

むしろ今は、熱い。


「………え?」


顔がとてつもなく赤くなる。

彼は、今なんて…。


「だから、俺は美晴さんのことが好き」


断言されてしまった。

こうなったらどうしようもない。


「あぁもう、察してくれ!俺と付き合ってくれるか!?」

「えぇと…」


優柔不断になってしまう。

だって、初めての告白。

初めて誰かに「好き」って言ってもらえたんだから。
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