最初の嘘

悠斗への気持ちを自覚して、私は不安になった。
悠斗には忘れられない人がいるのに、私なんかがその人以上になれるのか。

私は、嘘をつくことにした。

“悠斗、ナンパされた!”
悠斗は何て思うだろう。
少しは心配してくれるかな。

バイブがなった。
悠斗からと分かっていたけど、メールを見るのが怖い。
心配してくれなかったらどうしよう。
メールを開くのに、かなり時間がかかってしまった。
“そうなんや。変な男についていくなよ!”

嬉しかった。
少しでも、たった一行の言葉だけど心配してくれてるって分かるメールがきて。
“心配してくれるの?”

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