俺様王子と秘密の契約〜幼なじみは婚約者?!〜
lοve#1
新学期が平和なハズがない
皆さん、おはようございます。
崎川優芽です。
16歳、高校2年生。
身長は150㎝。A型。
小柄なのがコンプレックスだったり……。
え?自己紹介が長いって?
細かいことは気にしない!
「はぁー…」
現在、ある部屋の前でドアを開けようか、開けまいか考え中。
なんでかって?
そんなの…決まってるじゃないですか。
A.寿命が縮むからです。
それでも仕方なく…ドアを開けるとベッドで気持ち良さそうに眠る、王子が一人。
……なんか、眩しいよ?
「…またお腹出してるし」
無防備に眠るこの人は伊吹千隼くん。
同じく高校2年生。
身長177㎝。B型。
容姿端麗。スポーツ万能。
おまけに…頭もいいんです。
サラサラの綺麗な黒髪にそっと触れてみる。
相変わらず整った顔…まつ毛も長いし、モテるのも当たり前だよね。
「朝だよ〜」
出ているお腹を隠してあげながら呼びかけるけど、起きる気配は全くない。
さぁ…どうしよう。
起きてくれなかったら学校遅刻しちゃうんだけど……
千隼くんの寝起きの悪さといったらそれはそれは恐ろしいもので。
うぅ…でも新学期から遅刻はなぁ……仕方ない!
「千隼くんっ起きてぇぇッ!!」
意を決して精一杯の大きな声で叫ぶ。
「んー…るせぇよ」
「え?ぅわっ」
返事をしたかと思えば、千隼くん寝ぼけてる?!
突然、腕を引っ張られバランスを崩した私はそのまま千隼くんに抱き締められる。
「ちょっ…千隼くん!」
やばい!近いッ!
顔をあげればすぐ目の前にある千隼くんの顔にどんどん体温が上がっていく。
真っ赤になってるの見られたら、絶対からかわれるに決まってる!
いや、からかわれる以前にこの体勢は恥ずかしい!
「千隼くん離してっ!学校遅刻しちゃうよ!」
「んー…」
ダメだ。
抱き締められてて動けないし、
千隼くんは起きないし!
「ちーはーやーくーんッ!!」
「…あーも、さっきからうるせぇっつーの」
「お、起きてるんだったら離してよ…っ」
「あれ?優芽、顔真っ赤だけど?」
「きっ気のせい!」
「ふーん?俺に嘘つけると思ってんの?」
「えっ?!」
今にも唇が触れてしまいそうなくらいの至近距離で視線が絡み合う。
赤かった顔はさらに赤くなり、千隼くんはそれを見て満足そうに笑った。
「…ぷ。顔、赤すぎだろ」
「うぅ〜〜…っ」
抱き締められていた腕は緩み、千隼くんはようやく起き上がる。
……からかわれた。
いつものことだけど、毎回心臓に悪い。
私と千隼くんの関係って?
幼なじみです。
だから、小学生の時から毎日欠かさず、千隼くんを起こすことは私の日課になっている。