俺様王子と秘密の契約〜幼なじみは婚約者?!〜
前を歩く千隼くんを家に鍵をかけてから追いかける。
大体、千隼くん自分の家なのに戸締りも私に任せっきりなんだもん。
まぁ、お互い両親はよっぽどのことがないかぎり帰って来ないから仕方ないけど。
ようやく千隼くんに追いつく。
歩幅を会わせる気はないんだなぁ〜…。
小さなため息を一つついて隣を盗み見てみる。
ただ普通に歩いてるだけなのに、なぜかかっこいい千隼くん。
それに比べて私は…何もない。
どこにでもいるようなごく普通の女子高生。
スタイルも良くなければ、たいして可愛いわけでもない……。
「……さっきから何だよ」
「へ?」
「不細工な顔」
「ちょっひどい…」
「見たままを言っただけだけど?」
「…………」
否定できないから余計泣けてくる……!
千隼くんと比べるのがそもそも間違ってた!
てゆうか、私変な顔してたんだ…
全然、自覚なかったよ。
千隼くんに変な顔見られちゃった……ってなんでそんなこと思うんだ?私。
「んー…なんでだろぅッ!?」
「「「伊吹くぅぅんッ!!」」」
「っ…たぁ」
学校につくなり、千隼くんの周りには瞬時に女子の集団が押し寄せた。
その勢いに負け、地面に尻餅をつくのは毎回のこと。
「……いつものことでも痛いです」
黄色い声をあげ、千隼くんに夢中な女の子たちにその言葉は届くはずもなく……。
誰か一人でもいいから、心配してくれてもいいのに!
スカートについた砂を払いながら立ち上がると千隼くんは何も言わずに行ってしまう。
「……心配してくれてもいーのに」
……所詮、ただの幼なじみってこんなものなのかなー?
千隼くんってたまにわかんない……。
て、何考えてるんだろう。
考えるだけ無駄なのに…
「はぁー…」
「なーにため息ついてんの!」
「わっ!!…てなんだ、梨花ちゃんかぁ」
「なんだとは何よ?それより、また王子の取り巻きにやられた?」
「取り巻きって……まぁ、今に始まったことじゃないし慣れちゃったから大丈夫!」
この子は立花梨花ちゃん。
通称、私の親友。
身長167㎝。AB型。
スタイルも良くて、お姉さん的存在。
おまけに美人な上、モテるけど梨花ちゃんには優しい彼氏がいる。
「今日は達哉くんと一緒じゃないの?」
「達哉、サボるって。昨日朝方までゲームしてて眠いんだとさー」
「ははっ達哉くんらしいね」
「たく…新学期くらい来なさいっての!」
嫌味を言うわりに、優しい顔をする梨花ちゃんを見てつい笑顔になってしまう。
梨花ちゃんってばどうこう言いながら達哉くんのこと大好きなんだもんなぁ〜。
羨ましいような……でも一番は幸せそうで何よりだな〜!!