イケメンSPに守られることになったんですが。
「さあ、その人を放してもらおうか」
「バカか。こいつは人質だ。
お前こそ、両手を上げろ」
悪者は私に拳銃をつきつけたまま、怒鳴る。
バリトンさんはやれやれと言った表情で、仕方なく両手を上げた。
「銃を持ってるだろう。それを下に置け」
「…………」
「こいつを殺されても良いのか?」
「良くはないが……俺に銃を触らせない方が良いと思うぞ」
「何をわけのわからないことを言ってるんだ!
早く、銃を置け!!」
……早くしてよおおお、こんなところで殺されるなんて嫌だよおおお。
目で訴えると、バリトンさんはゆっくりと、右手をスーツの中に入れた。
そして、拳銃の本体が見えたと思った瞬間……
パアン!!
乾いたような破裂音が、地下道に響いた。