イケメンSPに守られることになったんですが。


「矢作、皆が皆、実家に頼れるわけじゃない。
不用意な発言はつつしめ」



亮司さんに厳しく言われて、矢作さんは何かを思い出したような顔をして、「はい、すみません」と謝った(私じゃなくて、亮司さんに)。


……うーん、そこまで私の事情は筒抜けか。


里親に育てられたってことも、逃げるように家を出てきてしまったことも。


なんか、不愉快だな。しょうがないけど。



「あっ、そうだ、いいこと思いつきましたよ高浜さん!」


「なんだ」


「嫁にもらってやりゃあいいじゃないっすか!

高浜さんも出世したいなら、いつまでも一人ってわけにはいきませんよ?

見た目はアレだけど、一応女だからいいじゃないっすか!」


「はあ!?」


「矢作、お前はもう黙れ」



またまた亮司さんににらまれて、矢作さんは口をつぐんだ。



「中園さんが困るようなことを言うな。
それに、失礼にもほどがあるぞ。

すみません、中園さん。
部下の教育がなってないのは、俺の責任です」


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