イケメンSPに守られることになったんですが。
亮司さんはジャージのまま、難しい顔をしていた。
私は頭の中で、彼の説明をゆっくり反芻する。
「亮司さん、もし私を狙っているのがSCSじゃなかったとしたら……」
「【六花の翼】を出版するのに、支障はありませんね」
「……ッシャー!!!!」
思い切りガッツポーズをした私の頭を、また亮司さんが優しく叩く。
「しかし、SCSじゃないとしたら、あなたを狙う理由がない。
SCSに罪をなすりつけようとしたとして、あなたと作品の名前を使うところまではわかりますが、実際にあなたは危険な目にあっている。
SCSに日本語に精通している人物がいるかもしれないし、実行犯に日本人を雇っているだけとも、考えられます」
「…………」
期待で膨らんだ胸が、またしわしわにしぼんでいく。
しゅーんとうなだれて床にのの字を書いていると、よしよし、と亮司さんが慰めてくれた。
「すみません、警察っていうのは全ての可能性を疑ってかかる生き物なんです。
もちろん公安もこの程度のことは考えているでしょうから、捜査はあちらに任せましょう」