イケメンSPに守られることになったんですが。


ぽん、とボタンを押すと、ドラム式洗濯機が口を開ける。


その中に、昨日着ていた私たち二人分の衣類があった。


別にしておいた下着をこっそり持ってきたけど、洗濯ネットはさすがに……



「あ、あった」



しかも、ブラが型崩れしないようにっていう、丸い形のネット。


それが洗濯機の横に転がっていた。



「……これくらい捨てておけばいいのに」



元婚約者さんに未練があるって言ってるようなものじゃないのか?


まあ、そのおかげで私のブラが入れられるわけだけどさ。


心の中で舌打ちしながら、ネットに入れた下着を洗濯機に放り込む。


いいよね、一緒に洗っちゃえば。水も電気ももったいないし。


洗濯機のスイッチを入れ、洗いから脱水までの『普通コース』を設定する。



「少量だから、洗剤もちょっとで良いかな~」



と貧乏くさい台詞を吐きながら、キョロキョロと洗剤を探す。


しかし、目に見えるところにはない。



「……ここ?」



近くにあった洗面台下の観音開きの棚を開ける。


また元婚約者の思い出の品が出てきたら嫌だなあ、と思いながら。


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