イケメンSPに守られることになったんですが。
「あと8日、とりあえず我慢しよう……うわっ、大賞始まるんだ~」
トップページに『恋愛小説大賞開催決定!』と載っているのを見ると、せっかく我慢しようとしていた心が騒ぐ。
私はどっちかというと、低年齢向けの『さくらんぼ』のサイトからのファン様が多い。
確かに、今まで高校生メインの話ばかり書いていたから、当然だろう。
大人むけの恋愛ものを書きたいという気持ちはすごくあるのだけど、私は高校を卒業してからバイト同然の接客業を転々としていて、オフィスというものに勤めたことがない。
だから、Cherry'sで一番人気のオフィスラブが書けない。
これはとっても不利だ。
でも、出してみたいと思う。『参加することに意義がある』っていうやつだ。
「恋愛ものか~。書けるかな~、締め切り間に合うかな~……」
スマホを見ながら、飲み物をいただくためにキッチンへ向かう。
すると、そこには亮司さんがいた。
「おはようございます。
どうしました、難しい顔してますよ」
と、カップを持たない左手の人差し指と中指で、私の眉間のシワを、しゅいーと伸ばす。