イケメンSPに守られることになったんですが。


バリトンさんは、胸につけられている(と思う、多分)マイクに向かって話す。


そして、ポケットから手錠を取り出した。


腕時計をちらと見て、事務的な口調で言う。



「20時34分、銃刀法違反の現行犯で逮捕する!」



がちゃん。


悪者の手に、銀色の手錠がはめられた。


うわあ、本物だ。初めて見た……。


とにかく、これで一安心、と思いきや……



「はあっ!?くそったれが!!てめえら全員死んじまえ!!」



バリトンさんが突然怒鳴って、その地獄の底から響くような恐ろしい声に、ちびりそうになってしまった。


バリトンさんの耳にはイヤホンがついていて、そこから聞こえた声に反応したようだった。



「ふ……仲間は無事に逃げたようだな。

警察はそちらの対応に追われている、か。

応援は来ないと見た」



悪者は手錠をされながらも、バリトンさんをあざ笑う。


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