イケメンSPに守られることになったんですが。


「うーん、それはとてもありがたい申し出ですけど、あいにくうちには何も材料がなくて……」



ほらね、と言いながら亮司さんが冷蔵庫を開けた。


うん、確かに何もない。


あるのはいつ開けたのかわからないめんつゆとか、ポン酢とか、マヨネーズとか。



「これも捨てるべきだな」



亮司さんがそれらの賞味期限を確かめて、どんどん廃棄していくと、冷蔵庫は本当に空になってしまった。



「……買いにいく、とか……

ちょっと、外出たいなー、なんて……」


「……一昨日狙撃されたのに?」


「…………」


「一昨日は幸運なことに、一般人を巻き込まないで済みましたが、いつもそう運がいいとは……」



やっぱり、ダメだよね……


私、マルタイとしての自覚が足りないや。


亮司さんといると安心しちゃって、うっかり自分の立場を忘れてしまう。


お説教されてしゅーんとしていると、亮司さんは小さくため息をついた。



「……しょうがないな」


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