イケメンSPに守られることになったんですが。


「な・ん・で・で・す・か~!!」



ずびしいっ!!!!


私は立ち上がると、思いっきり亮司さんの胸に裏手パンチをかました。


漫才師がツッコミで使う、あれだ。


しかし厚い筋肉に覆われた亮司さんはびくともしない。



「はい?」



きょとんと首をかしげてこちらを見つめる。



「なんでジャージの上にパーカーなんですか!!

ダブルジッパーはおかしいでしょうよ!!

百歩譲って、お洒落な若者がそれをするなら良しとしましょう。

しかし良い大人のあなたがそのままではダメですっ!

オジサン一直線ですよっ!」



一気に言い終えて、息を整えながら少し後悔した。


亮司さんが、ちょっと悲しそうな顔をしていたからだ。


まるで、捨てられた子犬……ああいやだ、陳腐な表現。でもそんな顔をしているんだ。


どうやら私は、正直に言いすぎたらしい。




「……そうなんですか?すみません。そういうの、わからなくて」


「……えと……すみません、私も人のこと言えないんですけど」


< 126 / 438 >

この作品をシェア

pagetop