イケメンSPに守られることになったんですが。
「な・ん・で・で・す・か~!!」
ずびしいっ!!!!
私は立ち上がると、思いっきり亮司さんの胸に裏手パンチをかました。
漫才師がツッコミで使う、あれだ。
しかし厚い筋肉に覆われた亮司さんはびくともしない。
「はい?」
きょとんと首をかしげてこちらを見つめる。
「なんでジャージの上にパーカーなんですか!!
ダブルジッパーはおかしいでしょうよ!!
百歩譲って、お洒落な若者がそれをするなら良しとしましょう。
しかし良い大人のあなたがそのままではダメですっ!
オジサン一直線ですよっ!」
一気に言い終えて、息を整えながら少し後悔した。
亮司さんが、ちょっと悲しそうな顔をしていたからだ。
まるで、捨てられた子犬……ああいやだ、陳腐な表現。でもそんな顔をしているんだ。
どうやら私は、正直に言いすぎたらしい。
「……そうなんですか?すみません。そういうの、わからなくて」
「……えと……すみません、私も人のこと言えないんですけど」