イケメンSPに守られることになったんですが。
とにかく、その格好はないわ。
私は亮司さんの部屋に彼を強引に連れていった。
「クローゼット、開けて良いですか?」
「え、ええ」
一応許可をとって、クローゼットを開ける。
するとそこにはいつもと同じようなスーツとコート、それに……
「あるじゃないですか!こっちにしましょうよ!」
背の高い亮司さんにぴったりの黒のロングコートを発見。
実用性のないベルトがそこかしこについていて、ちょっとビジュアル系っぽい。
これも大人の男としてはどうかと思うけど、ロックやパンクが好きな私にとっては萌える。ダブルジッパーより全然良い。
「中のジャージは脱いで行きましょう。普通のTシャツとかセーターとかないんですか」
「えと、それはこっちに……」
「ボトムは?」
「こっち……」
なんだ、探せばあるんじゃん。
グレーのセーターに、黒のパンツ。
迷った時はモノトーン。そうしておけばとりあえず「変なオジサン」になることは防げる。