イケメンSPに守られることになったんですが。
「まさか、指きり……」
「約束と言ったら、これでしょう」
「私、子供じゃないんですけど!」
もう!と膨れると、亮司さんは優しく笑った。
私たちを取り巻いていた、他のSPたちも。
「あ、キャリアだ……!」
スーパーの外を見た大西さんが、心底嫌そうな声を出す。
「篠田か。あいつがこれを見たら、捜査が進展するかもしれないな」
「ですね」
亮司さんの声に、新城さんがうなずいた。
その視線の先には、気を失った4人のテロリスト。
マスクや帽子、サングラスを取ると、彼らは全員日本人だということがわかった。
これは……私を狙っているのが、欧州系中心のはずのSCSじゃないかもしれないという可能性が強くなったということだろうか。
「さ、ここからは公安の仕事です。俺たちは、一度警視庁へ向かいましょう。
班長が今の状況の報告を待っているはずですから」
「ええ、さっきから「どうなったんだー!」ってうるさく言ってますよ。誰かさんたちがいい雰囲気だったんで、無視しておきましたけど」
「矢作、余計な事を言うな」
まったく、と亮司さんは少し頬を染めて歩き出した。
その大きな手は、しっかりと私の他人より小さな手をにぎってくれていた。
私が、マルタイだから……?
そう思うと、ぎゅっと胸がつぶれそうになる。
でも、その温かい手を離す事はできなかった。
もっと、その広い胸に抱きついていたいのに。
そうすれば、どんな状況でも安心できるのに……。
ああ。
私が、マルタイじゃなくて、あなたの恋人だったなら。
自分の価値を認めることができるのに。
もう、死んでもいいなんて、絶対に言わないのに。