イケメンSPに守られることになったんですが。
7・元彼が怪しいんですが。
泣いてデメキンみたいな顔になった私は、警視庁での班長さんへの報告のあとにやってきた篠田さんに、尋問されていた。
「……他に命を狙われる心当たりがあるなら、素直に言いなさい。
実は少女たちに売春を斡旋し、そこで違法ドラッグを売る手配をしただとか、
特定の団体……たとえばカルト教団だとか暴力団の悪口をネット上に書いてしまったとか、そういう事はないですか?
自白したら、すこーし罪が軽くなりますよ?」
「そんなん、あるわけないじゃん!!」
もうやだー。同じこと何回聞くの?
私は親も親戚も友達も彼氏もいない、10時から19時までメガネ店で週5働いてて(クビになったけど)、趣味といったら図書館に行く事と小説書く事ぐらいの……
ただの非リア充なんだってば!
少女を集める人望も資金力もないし、非リア充であるがため、サイトに出す小説は自分の妄想を集約させた、恋愛メインの話ばっかりだっつうの。
水滴がついてよく見えなくなってしまったメガネを取り、ティッシュで拭く。
その間にも、新しい涙が溢れてきそうだった。
「刑事さん、信じてくださいよ。
おいらは何もやっちゃいねえ。
これ以上尋問するなら、カツ丼をください、カツ丼を」
「……高浜、お前も大変だな」
「……芸術家に属する人は皆、変わり者なんだよ……」
「たかが素人のケータイ小説家だろうが」
おなかが空いてカツ丼を要求した私を、篠田さんはあっさり無視した。