イケメンSPに守られることになったんですが。
もう、やだ。
家に帰ったらマスコミに言ってやる。
警察官が市民に暴力をふるった。絶対ダメだ、そんなの。
怒りと恐怖でぷるぷるしていると、運転席に座ったバリトンもとい鬼畜警察官が、拳銃をしまってハンドルを持った。
その瞬間。
ふと、車内の空気が変わった気がした。
「あー……」
彼はバックミラーでこちらを見て、額を押さえた。
「すみません」
突然謝ると、一度車外へ出て、私の横のドアを開ける。
今度はなに?
ぷるぷるがぶるぶるになった私に、バリトンさんは優しく言った。
「すみませんでした。
中園さん、助手席に乗ってください」
そうして、まるで王子さまのように私に右手を差し出してきた。