イケメンSPに守られることになったんですが。
私はその日、普通に出勤する途中だった。
トイレに行きたくなり、駅の端のトイレにいたら、遠くから爆発音と悲鳴が聞こえ。
何事かと思ってトイレを出た瞬間、ホームから逃げてきた人の波に飲まれた。
王蟲の群れにはね飛ばされたナウ○カのように。
ちなみに今も、犯人は捕まっていない。
「でも爆発現場は見てないし、ただ居合わせただけなら、私の他に何十人もいたと思うんですけど」
「朝のラッシュ時でしたからね」
亮司さんがうーんとうなる。
「その時他に変わったことは?」
篠田さんが聞く。
変わったこと……実は、あった。
すごく気分が悪くなることが。
でも、事件には全く関係ないことだ。
「なかったと思います」
「そうか……ん?」
篠田さんの胸ポケットのスマホが震えた。
それをとり、一言二言交わすと、すぐに電話を切る。
「容疑者たちの意識が戻ったそうだから、行ってくる。
何か思い出したら連絡をくれ」
そう言うと、篠田さんは部屋を出ていった。