イケメンSPに守られることになったんですが。


「どうしました?」


「眠れないんです。コーヒーでもいただきながら、小説を書こうと思って」


「ふむ……しかし、コーヒーはいけません。もっと眠れなくなります」



そんなこと言ったって。じゃあ、緑茶なら良いんだろうか。



「いいものがありますよ。班長が帰りに持たせてくれたんです」



亮司さんは先にリビングの方へ向かい、おいでおいでと私を手招きする。


その広い背中についていき、テーブルにパソコンを置いて立ち上げていると……。


カウンターキッチンの向こうの冷蔵庫から、亮司さんが何かを取り出し、私の前にことんと置いた。


それは銀色の缶ビール。



「あ、ビールだ」


「SPルームの冷蔵庫にあるのを発見したら、やるから黙っておけと班長が」


「班長さん……」



いくらなんでも、仕事場にビールはダメじゃない?しかも警察が。


私のいやーな表情を見て、亮司さんが苦笑した。



「班長はああ見えて、すごく優秀な人ですよ」


「へー、そうですかー」


「信じてませんねぇ。とにかく、どうぞ。

これも班長からです」



そう言って亮司さんは、おつまみのスナック菓子までくれた。



「亮司さんは……」


「飲めません。警護中ですから」


「そっか……すみません、ありがとうございます」



お礼を言って、缶ビールを開けた。


正直お酒は普段飲まないけど、飲んだら気分がよくなるだろうか……。








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