イケメンSPに守られることになったんですが。
「どうしよう、書けない……っ」
「無理に書こうとするからじゃないですか?
ちょっと休みましょう。きっと、そのうちまた書けるようになりますよ」
「無責任なこと言わないでよっ。
文が書けなかったら、私の価値なんか本当に、いっこもなくなっちゃうのに……!」
うわああああ。
亮司さんに八つ当たりして、私はパソコンを乱暴に閉じ、その上に突っ伏して泣いた。
頭が痛い。
胸がドキドキして、気持ち悪い。
「中園さん……そんなことないって、昼間言ったでしょう」
亮司さんはこんなめんどくさい女にも優しく言うと、近づいて背中をなでてくれた。
その途端、睡魔が襲いかかってきた。
ああ、私、あんまり飲まないからわからなかったけど、お酒弱かったんだなあ……。
「そうれしたね……」
「そうですよ」
「れも、現実って残酷なんだもん。
本当はあの地下鉄の事件に遭遇した時、思いもよらないことがあったんれす」
「え?」
ろれつが回らなくなって、自分が何を言っているのかもわからなくなってきた。
「人の波に飲まれて転んれ、立ち上がった時……。
ばったり、会っちゃったんれす」
「誰に?」
「元彼……」
「…………」