イケメンSPに守られることになったんですが。
『寂しいよ。ねえ……』
恥ずかしくて、でももう寂しさを抑えきれなくて。
勇気をふりしぼって、彼を押し倒した。
そんな私に、カズヤはひとこと。
『めんどくせーな……』
ああ、そうなんだ。
行為をしないことに大した理由はない。
ただ、面倒くさいだけなんだ。
そう思った瞬間、頭の中で何かが切れた。
私は泣き喚いた。
泣いて、喚いて、叩こうとして、避けられて、逆に叩かれて、引っかいて、引っかいて、引っかいて、壊してやろうと思った。
どんな言葉をぶつけたのかは、もう覚えていない。
気がついた時には朝になっていて、彼はいなくなっていた。
幸いだったのは、貴重品やお金を盗まれていない事だった。
ただ彼は、私の事が本気で『面倒くさかった』んだ。
私はボロボロになった自分の爪を見て、ぼんやり思った。
逃げられた…………、と。