イケメンSPに守られることになったんですが。
「がんばったのになぁ……」
結局、自分がキレてダメにしてしまったんだけど。
「がんばったのに。
見た目も、がんばって、できる限り綺麗にしてた。いつオファーがあっても良いように。結局、レスになっちゃったけど。
ご飯も、彼のために作るようになった。
彼が好きだったスポーツ中継とか、ぜーんぜん興味がなかったけど、話題がほしかったから勉強して……。
寂しかったけど、寂しいって言っちゃダメだと思って言わなかった。
うざいと思われたくなくて、何も聞けなかったし、言えなかった……」
「…………」
「……バカみたい……」
もう、涙も出ない。
「さみしいなぁ……」
寒いや。
寝よう。
私はそのまま、意識が遠くなっていくのを感じた。
「…………」
亮司さんが黙って、私をお姫様抱っこしてくれる。
ああ、このまま寝室に運んでくれるんだ。
まだ完全に寝てはないけど、嬉しいから寝たふりをしておこう……。
やがてドアが開く音が聞こえて、重たい体をベッドに優しく横たえられたのがわかる。
隣に寝てくれないかな……。
なんて、無理だよね。警護中だもん。
ああ、私はまた何も言えずに……。
好きな人に、何も言えずに、フェードアウトしていくんだな……。