イケメンSPに守られることになったんですが。


スーツにオールバック。


仕事用にびしっと決めた亮司さんと、眉毛を書いただけのぼんやり顔の私は車に乗っていた。


警視庁へ向かう道とは違う気がして、亮司さんにたずねる。



「どこへ行くんですか?」


「……あなたの自宅アパートです」


「えっ?」



思いがけない返事に、驚く。


どうして自宅へ?



「あなたの部屋を捜索させていただきます」


「捜索って……盗聴器とかはなかったんですよね?」


「ええ。しかし、あなたを狙っているのがSCSでないかもしれないという可能性が出てきたので、何か手がかりがないか見せて欲しいのだそうです」



出てくるときに、パソコンとスマホも持ってきて欲しいと言われたから、変だなあとは思ってたけど、そういうことだったのか。


手がかり……そんなの、あるのかな。


散らかってはいたけどゴミはちゃんと出してたし、DMの類はパート先のシュレッダーにかけて捨てていた。


今さら何かが出てくるとは思えないけど……。


今日も冬の風が冷たい。


私たちはアパートから少し離れたところに車を停めて、歩いた。


家政婦のミ○色のコートの前を、しっかり合わせて。


アパートの前に着くと、一度だけ会った事があるおばあちゃんの大家さんと、篠田さんと新城さんがいるのが見えた。


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