イケメンSPに守られることになったんですが。
「で、ここからは仮説だが、
爆発事件を起こすということは、そいつはれっきとしたテロリストだろう。
どこかの組織に属している可能性が高い。
そのテロ集団は、犯人目撃者のお前を始末しようとしている。
そして、お前が小説を書いているのを知っていて、それを利用し、ついでに政治犯の解放を目論んでいる。
おそらくその中にすでに捕まった仲間がいるんだろう」
新城さんが淡々と言う。
か、仮説って。けっこう大胆な仮説ですけど……。
納得がいってしまう部分もある。
私が、テロの現場を(正しくはテロを起こして逃げる瞬間の容疑者を)目撃してしまっていたのだとしたら。
そこにしか、命を狙われる理由は、ない。
でも……カズヤが、テロリストだなんて……。
パラサイトテロリスト。
新しい小説の題名かっつうのー!!
そんなの、ウソだ。あの人は、ただのぐうたら人間のはず。
だけど……たしかに、政治の話なんかはすっごく詳しくて、独自の理論も持っているようだった。
難しくてよくわからなかったから、スルーしてたけど……。
でかけていたのはテロ活動のためで、最初から働いてなんかいなかったのかもしれない。
ううん、活動資金を貯めては仕事を辞める。そんなことを繰り返していたのかもしれない。
かもしれない、かもしれない、かもしれない。
もう、わけがわからない……。
はっきりしていることは、ただひとつ。
警察が、カズヤを重要参考人としてロックオンしたということだけ……。