イケメンSPに守られることになったんですが。
「というわけで、前科者リストと照合するために、指紋を採取させていただきます」
「でも、半年も前に出て行ったんですけど……」
「残ってないとは言い切れない。鑑識が着いたらすぐに作業をはじめる」
3人の警察官が代わる代わるに好き勝手なことを言う。
私は何も言い返せずに立ち尽くしていた。
「本名も実家の住所もわからない、そんな人間とよく暮らしていられたな。
顔写真か何か、残っていないのか」
篠田さんがずけずけと言い放つ。
「中園、元彼が置いていったもの、残ってないか?
俺は物の記憶が読めるから、今回呼ばれたんだ。
できるだけ、そいつが肌身離さず持っていたものがいいんだが……」
新城さんも、何言ってるんだろう。
「そんなの、何も残ってません……」
「…………」
「亮司さん……」
いつも私を守って、庇ってくれる亮司さん。
もうやめてあげてくださいと言ってくれるのを期待して、彼を見上げる。
しかし亮司さんは、視線を合わせなかった。
初めてこの部屋に来た時のように、細く息を吐きながら、家中を見渡している。
これって、透視……!?
「やっ、やめてよっ」
亮司さんのスーツの袖をつかもうとした時、玄関が勝手に空いた。
「鑑識か。早く、指紋を採取してくれ」
篠田さんが指示を出すと、二人の紺色の制服を着た鑑識のおじさんが、持ってきた鞄をあけ、私には何も言わず、指紋をとり始めた。