イケメンSPに守られることになったんですが。


亮司さんは写真を一瞥すると、何も言わずに篠田さんにそれを返す。



「預からせてもらうぞ」



篠田さんは冷たく言うと、写真を警察手帳に挟み、スーツの内ポケットにしまった。



「指紋はとれたか」


「いくつかは」


「よし、帰って照合するか。小娘、ご苦労だったな。

また何か思い出したら、さっさと連絡しろよ」



……なによそれ。


警察は、捜査のためならなんだってしていいの?


せっかく忘れかけていたことを、ほじくりかえして。


人の傷をさらして、えぐって。


もう、私の味方なんかどこにも……。



「……ッ、ぁ……」



お願い、もうやめて。


もう、思い出させないで。




「中園さん……?」


「おい、大丈夫か?」



土足で踏み込まないで。


私は忘れていたかったの。



「……ぃき、でき、な……っ」




……見られたく、なかったのに……。



< 169 / 438 >

この作品をシェア

pagetop