イケメンSPに守られることになったんですが。
2・勝手に担当決められたんですが。
言った通り、ちょっと車を走らせると、派出所の近くにパトカーが停まっていた。
さっさと犯人を引き渡すと、バリトンさんは運転席に戻ってきた。
「あれ、いいんですか?」
「はい?」
「取調べとか……」
「ああ、いいんです。それは公安がやりますから。
俺たちは部署が違うので」
バリトンさんは私を助手席に乗せたまま、再度エンジンをかける。
覆面パトカーである黒のセダンが、ぶるるとうなり出した。
「あのう、私も事情聴取とかされるんでしょうか?」
一度下着を盗まれた時警察を呼んだら、家の中でたくさんの書類に名前とか住所とか書かされた。
しかも下着を干していた物干し竿を指差した、なんともマヌケな写真を撮られ、
「その盗まれた下着って、どんな色でどんな形ですか?」と詳しく聞かれてしまった。
もちろん警察はマニュアル通りの仕事をしているだけなのだが、私には嫌がらせじゃないかと思えるくらいだった。
そのとき私は田舎から出てきたばっかりで、都会じゃ外に下着を干しちゃいけないんだってことも知らなくて。
福袋に入っていた緑色のTバックなんか履かなきゃ良かったとすごく後悔した。