イケメンSPに守られることになったんですが。
8・完全に好きなんですが。
泣くだけ泣くと、落ち着く。
いつものことだ。
でもこの状態を初めて見た新城さんは、明らかに頭のおかしな人を見る目で私を見ていた。
「……高浜さん、俺……」
「篠田の捜査に協力しなきゃいけないんだよな。
ここは大丈夫。お前は警察へ行って来い」
「はい……じゃあ……
中園、あまり思いつめるなよ」
精一杯気を使ってくれたんだろう。
彼にしては不気味なほど優しい言葉をかけると、そのまま振り向かずに行ってしまった。
ぼーっとした私の背を押して、亮司さんは車へと案内する。
「行きましょう」
どこへ?亮司さんの部屋に帰るんだろうか。
黙って車に乗っていると、見知らぬ風景が目の前に広がった。
やがて現れたのは、バカでかいこげ茶色の建物。
それは、病院だった。
「過呼吸を起こされたので、一応見てもらいましょう」
亮司さんはいつもの穏やかな声で言うと、車を駐車場に停めた。
病院の中もだだっぴろくて、老若男女、大勢の人がいた。
どうやら大きな総合病院らしい。
半分死体みたいになった私の手をひき、勝手に受付を済ませると、迷いもせずに心療内科へと足を運ぶ。
まるで、何度も来たことがあるみたいに。