イケメンSPに守られることになったんですが。


「私の事、頭がおかしいと思うんですか?」



待合室に入る前、亮司さんに聞いた。



「そんなことありません。

さっき言ったでしょう、過呼吸がクセになってしまうといけないので、一度診てもらいましょう。

ここはあなたが思っているようなところじゃありませんよ」



亮司さんは優しく言うと、待合室のドアを開けた。


そこには、たくさんの人が順番を待って座っていた。


わたしは自分がひどい偏見を持っていたことに気づく。


そこにいたのは、ほとんどが一見普通の人。


私より何倍も綺麗な女の人、スーツを着た会社員みたいな男の人、ゲームをやってる中学生くらいの男の子、普通の「おかん」って感じのおばさん……。



この人たち、どこが悪いんだろう。そんな人ばかり。



「23番の番号札をお持ちの患者様」



個人情報保護のためだろう。


番号で呼ばれた私は、亮司さんと一緒に診察室に入る。



「こちらにご記入ください。すぐに先生がいらっしゃいますので」



看護士さんに渡されたのは、何枚かの質問用紙。


家族構成から始まり、はい・いいえで答える簡単な質問が並んでいた。



『自分を価値のない人間だと思いますか』……はい

『生きていても意味がないと思いますか』……はい



……これに答えることが憂鬱なんですけど……。


なんとか泣かずに書き終えると、奥から白衣を着たお医者様が出てきた。


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