イケメンSPに守られることになったんですが。
頭に白いものが混じった……というかほとんど真っ白な髪をした、初老の紳士。
そんな印象の先生だ。
くそう、コーヒーブレイクしてやがったな。豆のにおいがぷんぷんするぜ。
だいぶ落ち着いた私は、いつもの調子を取り戻しつつあった。
「久しぶり、亮司くん。元気にしてる?」
「おかげさまで。先生、今日は俺じゃなく、彼女の診察をお願いします」
…………ん?
亮司さん、この先生と知り合いなの?
質問する暇もなく、先生が私の方を見て質問する。
「そうだったね。えーと、過呼吸だっけ。そうなったのは、今日が初めて?」
「はい」
「そう。苦しかったでしょう」
先生はそう言うと、さっき私が書いた質問用紙にさっと目を通し、ふーん、とうなずいた。
「とりあえず、ここまでの概要を……」
と、亮司さんは私の代わりに今まであったことをかいつまんで話した。
カズヤのことが出てくる頃には、耳をふさぎたくなったけど、なんとか我慢する。
話を聞き終えた先生は、うーん、とうなった。
「そうか……中園さん、詳しいカウンセリングはしてないけど、多分あなたは軽いうつ傾向にあるね」
「はぁ……」
「ストレス過多で、それでもなんとかがんばろうとしすぎて、息を吸いすぎちゃったんだね。
だから過呼吸になっちゃったと。
軽い安定剤を出しておくから、それ飲んでみて。
あと過呼吸になったときは、二酸化炭素を吸うと落ち着くから、口に袋をあててゆっくり吐いて、吸って。
暇な時も何回かやると、だいぶ落ち着くと思います」