イケメンSPに守られることになったんですが。
私がだまっていると、亮司さんは低く落ち着いた声で、ゆっくりと昔話を始めた。
「俺もね、中園さんと一緒なんです。実の両親が、いない。
産まれたときから施設に預けられて、顔も知らないんです」
ウソ……。
すごく優しい人だから、てっきり優しい両親がいて、大事に育てられたんだろうと勝手に思っていた。
「施設の中には、色んな子供がいました。
中学生までの子がいて、俺は散々いじめられました。
俺、子供の頃はすっごく可愛かったらしいんです。
女の子みたいだって、いじめられました。
殴ったりすると、アザが残ってすぐ先生にばれるでしょう。
だからみんなの前で下半身裸にするとか、そういう陰湿ないじめをうけました。
それでとうとう6歳のとき、キレちゃったんですよ」
そんな悲しい話をする亮司さんの顔は、意外に穏やかだった。
「ずーっと抑圧されてたものが、ばーんと爆発して、めちゃくちゃにやり返しました。
みんなを殴って、そのへんにあるもの全部投げて、誰も手をつけられない状態で。
それが、リョウが産まれた瞬間でした」
「…………」
「リョウは俺が抑圧してきたフラストレーションのかたまりだったんです。
自分の言いたいことを我慢してたぶん、他の人格としてそれが現れちゃったんです」