イケメンSPに守られることになったんですが。


その後も、亮司さんは話を続けた。


そんなとき、さっきの先生と出会ったこと。


一度キレたおかげで、いじめはなくなったけれども、友達は相変わらずいなかったこと。


いつの間にか、透視能力が身についていたこと。


小学5年生の時に、子供がいないお金持ち夫婦に引き取られたこと。



「環境が変わってやっと安心できると思ったところに、両親に子供ができちゃったんですよ。

実の子はやっぱり可愛いんですね。

あっと言う間に居場所がなくなりかけて、俺はいい子でいなきゃ、優等生でいなきゃって思って……

その反動でまたリョウが暴れ出して。

高浜亮司って言えば、その近辺のヤンキーでは知らない者がいないくらいの存在になってました。あはは」



いや、笑えないです……。


容易に想像ができちゃいますよ、ヤンキーだったリョウさん……。



「家を出たい一心で留学して、英会話を習得しました。

リョウの凶暴性を活かせる職はなんだろうって先生に相談したら、「銃を撃てるし、警察とかいいんじゃない?」って軽く言われて。

試験を受けてみたら受かって、警察学校で射撃の成績がトップになって、リョウも気分がいいようだったので。

あ、向いてるかもしれないなと思ったのがSPになったきっかけです」


「なにそれ……もっと、国の役に立ちたいとか人の命を守りたいとか、そういう理由が良かったー」


「あはは、失望させてすみません。

いやー、最初はそんなこと全然思わなかったですねえ。

自分の居場所を見つけるのに、精一杯で」


「…………」



気づいたら、見覚えのある風景が車の外に広がっていた。


帰ってきたんだ……。



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