イケメンSPに守られることになったんですが。
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……可哀想な事をしてしまった。
中園さんが処方されたばかりの安定剤と、一番軽い漢方の睡眠薬を飲んで眠りについたのを確認すると、自然とため息が漏れた。
見ないで、と泣き叫ばれたのは、初めてだ。
彼女が取り乱して、初めて気がついた。
事件を早く解決することが彼女のためだと思っていたが、それは間違いだったのだと。
ただ、俺は職業柄、何も考えずに中園さんの過去を、他人もいる前でさらしてしまった。
本当に、可哀想なことをしてしまった。
それにしても……。
どうして、俺はこんなに腹が立っているんだろう。
中園さんと元恋人……そう呼んで良いのかも怪しいが、そう信じている彼女のためには元恋人と呼ぶしかない……の写真。
あんなもの、発見しなければ良かった。
いかにもだらしなさそうなあの男が、彼女を深く傷つけたのだと知ったのは、昨夜のこと。
今と同じように、胸がむかむかした。
どんなやつだろうと色々想像してしまったのは、言うまでもない。
絶世の美男子ならば、どんなろくでもないやつだろうと、好かれるのはうなずける。
けれど写真に写っていたのは、まぎれもなくろくでもない、普通の男だった。
垂れた目に、天然なのか少しカールがかかった、根元が黒くなってしまった金髪に無精ひげ。
どうしてこんな男を、というのが正直な感想だった。