イケメンSPに守られることになったんですが。
『いやいや、どこにでもいるだろうよ。
全然大した事ないのに、不思議とモテるやつって』
心の中で、もう一人の俺……リョウが呆れた声を出す。
『あんなのにハマッた麻耶が悪い。
自己評価が低すぎるから、ああいうのにコロッといっちまうんだよ。
評価を上げる努力をしろ、努力を』
……それ、絶対本人の前で言うなよ。
彼女だって、十分わかってる。
今は傷を癒すのが先であって、努力なんかできる状態じゃない。
『甘やかしてばっかりなのが、あいつのためになるのかよ』
それはわからないが、今は叱咤激励しても、彼女は無理をしてしまうだけだ。
今だって、じゅうぶん無理をしているのに。
『手っ取り早く、男でも紹介してやれよ。
若い警察官の知り合いがいくらでもいるだろうが。
あいつは誰かにちゃんと愛されれば、すぐ治る。
……ちゃんと、愛されていい人間だ。
いい出会いがあれば、すぐ変われるだろ』
……わかってる。
彼女は、俺たちとは違う。
少し無理をしてしまっただけで、頭がおかしいわけでもない。
それどころか……。
『俺のことまで心配してくれるやつなんざ、そうそういねえ。
麻耶は自分が気づいてないだけで、心が大きいんだろうな。
だから寂しいだけのバカや、癒してほしいだけのバカが寄って来る。
損な奴だぜ、全く』
……俺が思ったことを先に言うな。
いや、結局は同じ人間なのだから、仕方がないのかもしれないが……。