イケメンSPに守られることになったんですが。


……リョウ……。


『ああ?』


彼女に、手を出すなよ?


『……出さねえよ。
俺だって、それくらいの分別はある』


彼女がマルタイだからか?


『……ノーコメントだ』



…………。



『お前こそ、手ぇ出すなよ?

こんな二重人格の頭がおかしいやつにハマったら、あいつはまた泥沼でもがくことになる』



お前が言うな!


誰のおかげで、俺がまだ一人だと思ってるんだ!



『俺のせいだよ。
でも、俺を産んだのはお前だ。
俺を消さないのも……お前だ』



……そうか、そうだな。


全部、俺のせいだ……。



『ああ、鬱陶しい!
お前と麻耶はよく似てるぜ!
意外とお似合いかもな!』



捨て台詞を残し、リョウは奥の奥に隠れてしまった。


はあ。


また、ため息が出た。


安全確認をするためにちらっと透視をすると、自分のベッドで、彼女の寝顔に涙が一粒こぼれていた。



ああ、腹が立つ……。



彼女はまた、あんなろくでもない男のために泣いているのだろうか。



こんな俺では、何もしてやれないのだろうか。




**




< 182 / 438 >

この作品をシェア

pagetop