イケメンSPに守られることになったんですが。


朝からパワフルだなあ……同い年なのに、このやる気の差はなんだ。


ふう、とため息をついて亮司さんの方を見ると……いない。


きっと、別の部屋で班長さんに許可を取ってるんだろう。


そこまでして行きたくないんだけどな……。


だけど亮司さんに「困っている友人を見捨てる冷血女」とも思われたくない。


そんなことを考えていると、パタンとドアが開いた。



「よし、出かけましょう」


「はっ?」


「今、若者たちに知恵を借りてきました。

あなたに補足した方が良いものを聞いてきたんです」


「ええと……」



若者たちって、多分SPチームのみんなのことだよね?


私に補足した方が良いものって?



「あなたが合コンに勝つためには、まず見た目を整えていけとのことです」


「…………」



……それ、笑顔で言うこと?


さりげなくひどいな……。


黙っていると、亮司さんは慌てて言い繕う。



「ああっ、違うんです、今の見た目が破滅的に不細工というわけではなく、少し地味かなと……」



あなたのようなダブルジッパー男に言われたくありません。



「ええと、とにかく、その髪の根元の黒いところを直し、洋服を探しましょう」


「そんなお金ありませんよ。

亮司さん、このあたりの美容室で髪を染めるのにいくらかかるか知ってます?

おじさんたちが行く町の床屋さんの倍はしますよ」


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