イケメンSPに守られることになったんですが。
「いらっしゃいませ」
中に入ると、イケメンの美容師のお兄さんに声をかけられる。
ちなみに亮司さんは車で待機中。
「ご予約のお名前は」
「中園です」
「中園様。はい、こちらへどうぞ」
なんと、亮司さんは私を説得する時点で既にこの美容室を予約していた。
本当に町の床屋さんだったらどうしようと思っていたけど、思っていたよりずっと素敵。
白い壁に白いフレームの鏡……よくある感じだけど、こんなところ何ヶ月ぶりだろう。
鏡の前の回転イスに座ってぼんやりしていたら、奥から女の人が出てきた。
「いらっしゃいませ!
担当させていただきます、佐々木と申します。
よろしくお願いいたします」
「あ、どうも」
うわあ……さすが美容師さん。お洒落で綺麗。
普通の顔を化粧で派手にしてるんじゃなくて、素地がいいって感じの顔。
かわいいというより綺麗。
「亮司の紹介なんて、初めてですよー。
あいつ、車の中でいいの?
中に入ってればいいじゃん」
「えっ?」
亮司って?なんで呼び捨て?
知ってる人なの?
「あれ、何も聞いてませんか?」
佐々木さんは、私のキョトンとした顔を見て、不思議そうに言った。
こくりとうなずくと、佐々木さんは「そっかあ」と苦笑した。
「まあ、昔の知り合いみたいなものです」
──とくん。
心臓がいやな音をたてた。