イケメンSPに守られることになったんですが。
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幸いナイフで切られたのは皮膚だけで、何針か縫っただけで済んだ。
これくらいなら、今後の警護にも支障はない。
いや、出してはならない。
俺の治療中、中園さんは若いSPに絡まれていた。
「おー、良くなったじゃん。すげーな、メイクマジックって」
「うんうん、かわいいよ、麻耶ちゃん」
……お前らなあ。ちゃんと警護に集中しろよ……。
って、俺も人のことは言えないか……。
シフトを調整し、家に帰って少しだけの休憩をもらうと、俺は自分の部屋ではぁと息をついた。
『お前なあ、俺に手を出すなって言ったくせに、なにしてんだよ』
頭の中で、リョウの声がする。
「…………」
本当だ。
いったい何をしてるんだ、俺は。
『……この際、あいつに妙な魅力があるのは、俺も認めよう。
心から不本意だが』
誰が不本意だ。
中園さんが盾に取られて、なかなか発砲できなかったくせに。
お前らしくない。
世間の目なんかいくらでもごまかせるし、テロリストを逮捕すれば、多少のことは上がもみ消してくれる。
いつも、そんな警察の悪いところを利用してきたじゃないか。
今日に限って、お前が撃てなかったのは……。