イケメンSPに守られることになったんですが。


夕方になって、エリカとの約束を果たすべく、合コンに行く準備をした私。


久しぶりにメイクをしてみたけど……。


やっぱり、中村君がしてくれたようにはいかなかった。


仕事の時も身だしなみ程度の薄化粧しかしていなかった私は、久しぶりに取り出した何色も入ったアイシャドウやドーム型チークを見て、



「これ、どうやって使うんだっけ……?」



と、しばし悩んだ。


結局面倒くさくなって、仕上げ用パウダーとマスカラとアイライン、色つきグロス(全部乾いてガビガビになる直前だった)だけで、コンタクトもないからメガネのまま。


やっぱり足がスースーして寒いなあと思いながら、無難ワンピースの下に黒タイツを履く。


こうして、少し早く準備が済んでしまった。


どうしようかな、亮司さんの前にこの姿で出て行くのはなんだか気恥ずかしいし……。


寝室でスマホをぽちぽちしながらぼんやりしていると。


──ピンポーン。


予告もなしに、高浜家のインターホンが鳴った。


あれ?誰か来たのかな?


寝室から顔をのぞかせると、ドアの前に立っていた亮司さんが、私が出て行こうとしたのを腕で制した。



「誰かわかりません。部屋の中で、静かにしていてください」



それだけ言うと、亮司さんはインターホンのモニターに向かった。


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