イケメンSPに守られることになったんですが。
目が合った瞬間、彼はその酷薄そうなつり目を少し丸くした。
そして、亮司さんの方を向く。
「……おい、マルタイが変わってるぞ」
「……たしかに装備は変わっているが、彼女自体は変わっていない」
「本当だ。化けたものだな」
女は怖い。
そう追加して、篠田さんは持っていた白い箱を私に押し付けた。
「ん」
「えっ?」
「やる」
小さな持ち手のついたそれは、大きさから察するに、多分ケーキとかプリンとかお菓子の類。
その証拠に、封をしてあるシールに、『お菓子の店 ピーターパン』と印字されていた。
「捜査に協力してもらった礼だ」
篠田さんはぶっきらぼうに言うと、私の方は見ず、亮司さんの案内でリビングへ向かう。
うわぁ……篠田さんがこんな風に気を使ってくれるとは。
あの無理やりな家宅捜索の日には死んでしまえと思ったけど、やっぱり仕事熱心なだけで、根からの悪人じゃなかったんだ。
……まだ、当分は心を開く気にはなれなさそうだけど。
……ハッ、まさか!!
「……自白剤入り……とか?」
「……いっそ、そうしてやればよかったな……」
せっかくの好意(多分)を疑われた篠田さんは、チッと舌打ちをした。