イケメンSPに守られることになったんですが。
まだ、出かけるまでには時間がある。
キッチンで開けた篠田さんがくれた箱の中には、やはりケーキが。
私の趣味がわからなかったのか、ショートケーキにチーズケーキ、チョコレートムースにモンブラン、フルーツゼリー。一通りのものが入っていた。
「お兄さん方、どれがいいですか?」
「俺は結構。砂糖を取りすぎると頭が鈍る」
「俺も大丈夫です」
2人に譲られ、すべてのケーキが私のものに……!
「わあーい!篠田さん、大好き!」
「……ゲンキンなやつだな」
ふっと、篠田さんが苦笑した。
だって、食べ物をくれる人に悪い人はいないと思う。
るんるんと弾みながら2人にはコーヒーだけを用意する。
「はい、どうぞっ♪」
これで私の出番は終わり。
さて、ケーキ食うぞっ!
と、カウンターの中に戻ろうとすると……。
むっつりしている亮司さんの顔が視界に入った。
あれ?どうしたの?
あ、そうか。篠田さんと仲が悪いからか。
あまり触れない方がよさそう……。
黙ったまま再びキッチンの方へ向かおうとすると、篠田さんから意外な発言が。
「なんか、お前の嫁みたいだな」
嫁っ!?
私が、亮司さんの!?
コーヒー出しただけですけどっ?