イケメンSPに守られることになったんですが。


すでにカップに口をつけていた亮司さんが、ぶほっとコーヒーを吹き出してしまった。



「ああ~、もう」



いくら黒いジャージだからといって。


ふきんを持っていくと、亮司さんはそれを奪い、ケホケホと咳き込みながら自分で汚れを処理した。



「なにを慌てているんだ」


「あ、慌ててなどいない。お前がおかしなことを言うからだ」


「ふうん……まあいい。本題に入らせてもらう」



篠田さんは時間がないようで、それ以上は亮司さんをいじらなかった。


スーツの胸から手帳を取り出し、ついでにメガネをかける。


ん……メガネ?



「老眼鏡……?」


「遠視と乱視だ。疲れているとピントが合いづらくて……って、お前、さっきからさりげなく俺をバカにしているな」


「そんなこと……」



むしろ、メガネの篠田さんに萌えです。


メガネ男子が好きで、メガネ店に勤めていたくらいですから。


なんて言ったら、また叱られそうなので黙っておこう。



「ちっ……お前、事件が解決したら覚えていろよ。

拉致して、縛り付けてやる」



おおっ、やっぱりドSだったのか!!


どういう縛り方か想像してドキドキしていると、亮司さんが口を挟んだ。



「バカなことを……本題はどうした」



その声はいつもに増して低く、眉間にシワが寄っている。


やばい、調子に乗りすぎた……。


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