イケメンSPに守られることになったんですが。
「……お前なあ、そういうことは本当に好きなやつに言えよ。
篠田とか俺とかに、安売りすんじゃねえ」
リョウさんは呆れたような困ったような顔で、私の涙をその親指でぬぐう。
「ちがう、ほんとだもん。
篠田さんと、リョウさんと亮司さんは、全然、ちがうんだもん」
それは違う。絶対に違う。
わかってよ……。
「……もうやめとけ……」
「ちがうんだもん。
ほんとに、好きなんだもん……」
『好き』が溢れてしまって、理性の堤防が決壊した。
ああ、やってしまった……。
言ってしまったあとに後悔する。
私はマルタイで、亮司さんとリョウさんはSP。
困らせるだけなのに……。
「……っとに、お前は……」
お前は、なに?
顔を上げると……。
目の前には、リョウさんの顔。
そのまぶたは、閉じられていた。
そして……。
私の唇に、やわらかいなにかが押し当てられる。
それがキスなんだと気づいたのは、彼が一瞬でその唇を離したから。
呆然として見たリョウさんの口の端に、私のグロスがちょっとだけ、ついていた。