イケメンSPに守られることになったんですが。


「……ほらみろ。おっさんをからかうと、こういう目に遭うんだ。

覚えとけ」


「…………っ!!」



リョウさんは、してやったりという顔で笑っている。


それが、私の心の火に油を注いだ。



「からかってなんか、ないっ!」


「おい、ちょ……っ」



暴走した私はリョウさんの首に腕を回し、ぎゅうと抱きつく。


そして、嫌がる彼の唇に、自分の唇を強引に押し当てた。



「~~~っ!」



ガチっと歯がぶつかる音がして、リョウさんの喉から非難の音が漏れる。


それでも私は離れなかった。


でも、リョウさんの力に敵うはずはなく……。



「アホか!」



とうとう、ベリッと引き剥がされた。


いいもん、やり返してやったもん。


失恋なんか、慣れてるもん。


思い切り泣いて、事件が解決したら、また立ち直れるもん……。


そうは思うけど、涙はぼろぼろと止まることを知らずに流れ続ける。


解放してしまった感情と、少しの後悔の波に飲まれて、どうしていいかわからなくなった。


そんな私に、リョウさんが予想外の言葉を放つ。





「テメエ、ひとがギリギリ保ってきた安全装置外しやがって……!

キスってのはな、こうやってやるんだよ!」




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