イケメンSPに守られることになったんですが。


えっと思う間もなく、リョウさんの左腕が、私を抱きしめる。


そして右腕は私の頬に添えられ……。


その宣言のとおり、リョウさんは再度私にキスをした。


さっきのように一瞬で離れていってしまうかと思われたそれは、何度も私の唇を包み、ついばむ。



「……ッ……」



息が苦しくなって思わず口を開けると、待っていましたとばかりに彼の舌が侵入し、もっとよこせと歯列をなぞる。


私はそれに抗う術もなく、素直に自分の舌を差し出す。


するとリョウさんは音を立てて、それを強く吸い上げた。



「……抵抗するなら、今だぞ」



やっと唇を離したリョウさんが、真剣な顔で私をのぞきこむ。


でも私はお酒とキスによる酸欠で頭がぼーっとしてしまって、何も判断できない。


ただ、はっきりしているのは。


好きなひとが、私を欲しがってくれているということ……。



「……しませんよ……好きだから」


「……覚悟できてんだろうな?」



できてないよ。


だって、突然だもん。


だけど、いちいち覚悟を決める時間がもったいない。


生きているうちに、できるだけたくさんの幸せを享受したい。


そう思う私は、バカで貪欲でしょうか。



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